市民セクター全体の信頼性向上をいっそう進めていきたいと考える有志の会

(全国コミュニティ財団協会の会計問題について)

「一般社団法人 全国コミュニティ財団協会」が起こした「虚偽の会計報告」事件に関して、適切な説明責任の遂行と信頼回復に資する対応を求める公開要望書を取りまとめ、公開いたします。

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公開要望書全文
「(一社)全国コミュニティ財団協会が起こした「虚偽の会計報告」事件に関し、適切な説明責任の遂行と信頼回復に資する対応を求める公開要望書」

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(追記、4月9日(火)8:00)
 未確認情報ですが、本要望書作成時点(2024年3月下旬)において(公財)日本非営利組織評価センター(JCNE)の理事であった鈴木祐司CFJ副会長、石原達也CFJ理事、および評議員であった深尾昌峰CFJ元会長が、3月末をもってJCNEの役員等を辞任したという情報が本要望書の完成後に入りました。本要望書作成時にはこの情報は入っておらず、また本要望書公開の4月9日(AM8時)現在でもJCNEホームページ上では確認できないため本文では元職とはしていませんが、確認が取れ次第、その旨の修正または注記を入れます。
(注)CFJ=全国コミュニティ財団協会の略称

要旨

 私たちは、この度の(一社)全国コミュニティ財団協会(以下「貴協会」という)が引き起こした、(公財)日本財団助成事業における「虚偽の会計報告」事件(以下「当事件」と呼ぶ)は、全国のコミュニティ財団、助成財団セクター、ひいては市民セクター全体の信頼性に関わる重大な事案であると認識しています。その観点から、以下の5点に関し、真摯に事実に基づいた説明責任と対応を果たされること、そして市民セクター全体の健全な発展という観点を踏まえた信頼性回復の措置を求めるものです。

 1.第三者委員会による当事件の事実と責任の検証と公表、および信頼回復措置等が講じられるまで、指導的事業の一時停止を求めます。
 2.当事件発生当時の事実関係の解明と検証、および、その当時の役員・組織の対応の事実検証と、その適正さおよび責任に関する考えの明確化を求めます。
 3.当事件が問題化した後の貴協会の組織対応にも問題があると考えています。組織対応の事実関係の解明と検証、および、現在の役員・組織の対応の在り方に関する事実検証と、その適正さおよび責任に関する考えの明確化を求めます。
 4.当事件の処理がつくまで、貴協会の役員が中心的役割を務める関係団体においては、当該役員は責任をもって他団体を指導するような事業の一時停止などの適切な対応をとることと、当事件に関する見解を表明するように働きかけることを求めます。
 5.当事件を生み出した背景、とりわけ虚偽の会計報告までして事業拡大を求めた要因に対する検証を求めます。

前文

 私たちは、今回の貴協会の「虚偽の会計報告」事件※(以下「当事件」という)は、とても深刻な事態であると深く憂慮しています。

 この事件は、貴協会と日本財団との2者間の問題にとどまらず、全国のコミュニティ財団、助成財団セクター全体、および市民セクター全体に甚大な悪影響を及ぼす「事件」であると認識しているためです。

 2016〜18年度当時の不正行為はもちろん、2022年6月29日に日本財団より問題が提起された後も、貴協会の理事・監事の不作為、適切でない説明などの不適切な対応が続き、それが貴協会および理事・監事の信頼を著しく毀損しています。

 問題は、一貴協会に留まりません。貴協会は、全国のコミュニティ財団に対し、指導的な立場にあり、ガバナンスやコンプライアンスを、関係するコミュニティ財団に求めてきています。そのような立場にある者が、「虚偽の会計報告」をし、その事実を長期に渡り認めてこなかったことは、全国のコミュニティ財団、助成財団、市民セクター全体の信頼性を大きく毀損する結果になると、私たちは危惧しています。

 国民の財産である休眠預金から数億円という巨額の資金を受け、率先して適切なコンプライアンスやガバナンスを果たすべき立場でもあるにもかかわらず、現在の貴協会および理事・監事の不適切な対応は、休眠預金等活用制度(以下、「休眠預金制度」という)の信頼をさえ大きく損ねることとなっています。

 また、今回の「虚偽の会計報告」に関わっている理事・監事(発生当時および現在)は、それぞれ、市民セクターの信頼性を高めることを標榜する活動を行う団体や、巨額な休眠預金を始めとする公的資金や大きな寄付を集め、かつそれを配分したりする際に、ガバナンスやコンプライアンスを配分・助成先に求めるコミュニティ財団等で、主要な役職に就いています。当事件とその後の不適切な対応は、それら関係団体の信頼も大きく毀損することとなっています。

 さらに、今回のことは、貴協会の不正だけが独立して存在するものではありません。NPO等に資金提供をしようとする団体(コミュニティ財団など)がその実力を超えた多額の資金を得ようとしたこと、その際に必要とされる最低限のガバナンスや倫理観・責任感が欠如したまま急激な規模拡大を志向したことが背景にあると考えられます。さらにより大きな構造として、そのような脆弱な団体の倫理観・責任感やガバナンスの実態、事業遂行能力などが問われないまま数億円という巨額の資金が提供され続け、かつ当該団体が資金分配をし続けているという状況そのものが、極めて大きな問題を孕んでいると言わざるをえません。

 私たちはこのような問題意識から、昨年11月以来、貴協会の役員・会員に対し、自浄作用を期待して、非公式レベルで累次にわたり自発的な情報開示と責任ある対応を促してきました。しかし11月以来の貴協会の不十分な対応は、貴協会の自浄能力にはもはや期待できないことを示していると考えざるを得ません。一方、今回、第三者委員会を設置し、当事件の事実解明に乗り出されたことは、前向きの前進であると評価しています。それゆえ、この取り組みがいっそう適正なものとなるように願いを込め、以下の通り、貴協会および第三者委員会に対し質問及び要望をいたします。

※ここで「虚偽の会計報告」事件と呼ぶのは、貴協会に提出され、貴協会が公表された「報告書」(令和6年2月12日近藤陽介弁護士作成)に「虚偽の会計書類を作成し、日本財団に虚偽の報告をした」と述べられ、貴協会がそれを「事実であると認めた」と記述があることによっています。

以下の本文は、下記からご覧ください。

公開要望書全文(リンク)

目次

要旨 ・・・p1
前文 ・・・p1
要望および質問事項 ・・・p3
   1 ・・・p3
   2 ・・・p3
   3 ・・・p7
   4 ・・・p10
   5 ・・・p12
【参考】CFJおよび日本財団による公表文一覧 ・・・p13
呼びかけ人・賛同者一覧、連絡先 ・・・p13
要望および質問事項の背景と理由 ・・・p15

公開要望書全文(リンク)

(参考資料)全国コミュニティ財団協会および日本財団による公表文一覧

 (日本財団)
  1)2023年10月23日
         「日本財団助成事業における不適切な会計処理について」
         https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2023/20231023-95667.html

 (全国コミュニティ財団協会)
  2)2023年11月17日
         「日本財団助成事業にかかる会計処理、並びに資金の一部返還についての見解」
          ※のち(年末年始頃)に取り下げ
  3)2024年1月6日頃
         「日本財団からの助成事業の件について」
         https://www.cf-japan.org/newspress/1405/
  4)2024年2月19日
         「<ご報告>日本財団助成事業における不適切な会計処理について」
          ※顧問弁護士による「報告書」添付
         https://www.cf-japan.org/newspress/1444/
  5)2024年3月1日
         「「2016〜2018年度の理事」からのお詫び」 ※「お詫び」添付
         https://www.cf-japan.org/newspress/1450/
  6)2024年3月18日
         「日本財団助成事業における不適切な会計処理に伴う助成金の一部返還の内容及び現在実施している対応状況について」
          ※監事意見ほか添付
         https://www.cf-japan.org/newspress/1468/
  7)2024年3月24日
         「第三者委員会の設置について」
         https://www.cf-japan.org/newspress/1479/

呼びかけ人・賛同者(4月6日現在)

(呼びかけ人)
 阿部陽一郎、安藤雄太、実吉威、田尻佳史、早瀬昇、松原明、山岡義典、横田能洋、吉田建治

(賛同者)
 岡本仁宏、石田祐、坂本憲治、荻野俊子、石黒好美、伊井野雄二、松田康之、野尻智周、小林和彦、早坂毅、田中亮彦、山田友美、脇坂誠也、加藤俊也、白石京子、認定NPO法人アカツキ、中島智人、高田篤、桜井光、細矢岳彦、中村恭香、松田英明、山田絵美
 ※4月29日(19:00)現在、順不同(敬称略)

※個人での呼びかけ人・賛同者はいずれも個人の立場での表明であり、所属団体の立場を代表していません。

お問い合わせ

本要望書に関するお問い合せは、下記までお願いします。

市民セクター全体の信頼性向上をいっそう進めていきたいと考える有志一同
お問い合わせ連絡先:E-mail:forcommunityfund@gmail.com